金属加工のワンポイント講座

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金属溶接の種類

金属溶接には、アーク溶接・ティグ溶接・スポット溶接・ろう接・ガス溶接など、他にも多くの種類の溶接があります。溶接というと、大型の船やビル、車などに使用されている技術のイメージがありますが、身の回りの多くの製品にも利用されています。

例えばスチール製のベッドの接合部分であったり、回転椅子の接合部分であったり、よく目にするようなものでも溶接の技術は活用されています。

また、精密機械の分野では小型化・軽量化が進んでおり、いわゆる軽薄短小のモノが求められるようになってきました。ロボットもそうした流れに対応するために、薄板材を使用するようになり、溶接の技術にも細かな作業が求められています。そのような時代のニーズに合わせた材料や使用目的に対応してきた数多くの溶接方法の中から代表的なものを紹介します。

アーク溶接

アーク溶接とは、空気中に電流が流れるアーク放電と呼ばれる現象を利用して行う溶接方法です。アーク放電は、電極棒と母材の間のガスが電離し、マイナス電子とプラスイオンに分解されて間に電流が流れる現象です。高電流・低電圧の条件で維持され、閃光とともに大きな熱が発生します。この発生した熱を溶接に利用します。

アーク放電を利用する溶接方法は大別すると2つです。
1.電極棒が溶けて母材に移行する消耗電極式溶接
2.アーク放電では溶けないタングステン等を電極棒とし、その溶接棒を母材へ溶かし込む非消耗電極式溶接

消耗電極式溶接は溶けている金属の保護方法によってさらに分類されます。
1. 被覆アーク溶接(被覆材から生成されるガスでシールド)
2. マグ溶接(不活性ガスと炭酸ガスを混合したガスでシールド)
3.ミグ溶接(イナートガスでシールド)
非消耗電極式溶接は溶けた金属をイナートガスで保護するティグ溶接が基本となります。

ティグ溶接

ティグ溶接のTIGは「Tungsten Inert Gas」の略で、タングステン-イナートガス(不活性ガス)溶接を意味する溶接方法です。電極棒に融点が高いタングステンを使用し、別の溶加材(溶接棒)をアーク放電で溶かし、溶接する方式です。この時溶かした溶接棒の金属はアルゴンガス等のイナートガスを溶接部にかけることで保護します。

あらゆる金属の溶接に適用でき、ステンレスや非鉄金属(アルミ等)に使用されており、母材と溶接棒の溶融が別々に行われるため、薄板厚板関係なく必要な溶け込みの調整がしやすく溶接箇所全体で均一な溶け込みの溶接ができます。そのため見た目も綺麗な仕上がりになります。

また、母材の金属はイナートガスで保護されており、その中で溶かされて固まるため成分の変化が少ないといった面でも高品質の溶接が可能です。

スポット溶接

スポット溶接はティグ溶接とは異なり、点で接合されることからこの名称で呼ばれています。その方法から、電気抵抗スポット溶接とも呼ぶべき溶接方法でもあります。電源に接続された電極棒で2枚の母材を挟み圧力を加えていきます。その時に電極棒に電流を流すことで接触面に電気抵抗による熱が発生し、その抵抗熱で重ねあわせた母材が溶融します。

電極棒で挟み込む方法なので、薄板の溶接に使用されることが多い方法となります。車や電車の車両にも使用されています。

ろう接

ろう接とは、母材を溶かさずに溶接する方法です。接合する母材よりも融点の低いろう材(はんだ)を液状にして母材の隙間に流し込み接合します。ろう接に用いられるろう材は二種類に分かれます。融点が450°以上の銀ろう・黄銅ろう等の硬ろう材と、融点が450°未満のはんだ等の軟ろう材の二種類です。

基本的に、接合部分の強度が求められる製品は硬ろうが使用されます。軟ろう材=はんだを使用するろう接方法は、はんだ付けとも呼ばれています。ろう材を溶かす加熱手段としては、可燃性ガスを燃焼させる方法と、はんだゴテのような電気ヒーターで加熱する方法等があります。

Point

・金属溶接にはアーク溶接・ティグ溶接・スポット溶接・ろう接・ガス溶接など多くの種類がある。
・精密機械の分野では小型化・軽量化が進んでおり、ロボットにも薄板材を使用することで溶接の技術にも細かな作業が可能となった。

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