チタン加工の基礎【チタン切削加工メーカー】
チタンは比重が鉄とアルミの中間に位置する比較的軽い金属です。比強度が高い金属で、特にチタン合金は実用金属の中でも上位の比強度です。生体親和性が高いという他の金属には中々無い特徴を持っています。この記事ではチタンの特徴を解説します。
金属加工のワンポイント講座
onepoint
チタンは軽量で腐食に強く、人体に無害な金属なため、日用品にも使われる金属材質です。アルミニウム合金やステンレス鋼など他の金属材質の中でも、特に比強度に優れています。使用例は産業用機械、医療機器など広い分野に渡ってあります。ところが、チタンには優れた特徴の反面、切削加工が難しい難削材でもあります。チタンの切削加工が難しい理由は下記の3つです。この記事ではこれら3つの理由について解説します。
チタンはヤング率が小さい金属素材です。ヤング率とは応力とひずみの比例関係を表す比例係数です。この値が大きいほど素材の剛性は高く、変形しにくい性質を持ちます。チタンは剛性が低く、ヤング率は鉄の約半分です。切削加工した際に大きく変形しやすい特徴があります。特に薄いワークの加工では、加工精度の低下や加工中のびびりが発生が起きやすいです。
チタンは熱伝導率が低いため、切削加工による熱の逃げ場がなく、ワークと切削工具に熱が蓄積され、摩擦が大きくなります。そのため切削工具の摩耗が激しくなり工具の寿命が短くなったり、加工中の破損が起きたりします。
チタンは化学的に活性で、他の金属と親和性が高い特徴があるため、工具との反応も起こします。摩擦熱により合金の生成や、融着を起こし、加工精度の低下や工具への負担を増加の原因になります。
チタンの切り粉は可燃性が高く、燃えた際には水をかけると危険なので注意が必要です。高温のチタンは水分子中の酸素と反応するため、水素が発生します。これが水素爆発を起こす危険があります。消火には乾いた砂か、金属火災用の粉末消火剤を使う必要があります。
Point
チタンは優れた特徴の多い金属ですが、その反面、切削加工が難しい金属でもあります。切削加工時には、変形と切削工具の摩耗、火災には十分注意した上で扱う必要があります。チタンは材料費が他の金属材質よりも高く、難削材でもあることから加工費も高くなる傾向があります。
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