旋盤加工（旋削加工）とは｜旋盤加工の加工内容と特徴

2024.08.19

旋盤加工とは

旋盤加工は除去加工の1つで、工作機械を使って金属・樹脂素材を削り出す加工方法です。本来は旋削加工の一種ですが、旋削加工の大半がNC旋盤を使った加工であるため、旋削加工の意味で「旋盤加工」を使うようになっています。ワークを高速回転させながら、固定した切削工具に当てて削り、穴あけ、中ぐり、ねじ切りなどの加工をします。回転するワークを削る仕様から、主に円筒形の形状の加工に用いられます。

旋盤加工は高精度の加工が可能な加工方法であり、金型などの大掛かりな準備が必要ないため、単品加工・短納期加工に適しています。実際に使うロボット・自動化装置の部品製作や、製品開発の試作にも向いた加工方法です。

旋盤加工にはNC旋盤や複合旋盤機を使います。
NC旋盤
数値制御により切削工具を動かし加工する加工機械です。汎用旋盤にNC装置・操作盤・サーボモーターの3つが追加された機能を持ちます0.001mm単位の高精度な位置決め、プログラムによる自動加工が可能です。
複合旋盤
NC旋盤にフライス（マシニング）の機能を持たせた加工機械です。加工内容に旋盤加工だけでは対応できないものがある時に作業効率を高める効果があります。ミーリング加工が可能で、回転工具により丸棒の中心以外の位置に穴を開けたり、丸棒の外径部分を四角や六角の形状に加工することができます。

Point

旋盤加工は高速回転するワークに、固定した切削工具を当てて削る加工方法です。主に円筒形の部品の加工に適しています。ロボット・自動化装置の部品や、製品開発の試作に用いられます。

旋盤加工の特徴

旋盤加工には主に3つの特徴があります。1つ目は加工精度が高い点です。数値制御のNC装置を搭載した旋盤加工機により、0.001mm単位での高精度の加工ができます。これにより寸法精度だけでなく、面粗度の調整も可能です。

2つ目は加工対象の素材が豊富である点です。旋盤加工で削ることができる素材は快削材から難削材まで、種類が豊富です。そのため用途に合わせた素材選定をすることができます。

3つ目は小ロットの短納期製作が得意である点です。金型などの準備が必要ないため、工場の状況と加工内容次第では発注当日に加工を開始することができます。初期費用が低いため、試作や小ロットの特注部品の製作に適しています。単品の加工は複数個の加工に比べ、単価が高くなる点には注意が必要です。

加工精度が高い

最小0.001mm単位の調整

加工素材が豊富

金属・樹脂素材200種以上

1個から製作可能

1図面・1個から製作可

Point

旋盤加工は、「加工精度」「加工素材の種類」「小ロット加工」の面で優れた加工方法です。加工単価は鋳造などの量産に適した加工方法よりも高く、1000個を超えるような量産の納期は金型を使った加工方法よりも長くなる可能性があることに注意が必要です。

旋盤加工の種類

旋盤加工は大きく分けて外径加工・端面加工・内径加工・ねじ切り加工・総形加工の5種類の加工が可能です。加工内容によってそれぞれ工具を使い分けます。工具の当て方、組み合わせで複雑な形状に加工できます。画像のような形状にも旋盤加工のみで削り出すことができます。

大分類	小分類	加工内容
外径加工	外丸削り	外周を削って外径を小さくします。エンドミルの側面を使って四角・六角形状にも加工できます。
	段削り	外丸削りを複数回行い、階段状の段差をつくります。
	テーパ削り	外周を斜めに削りワークに勾配を作り円錐形にします。
	曲面削り	外周を曲面状に削ります。曲面・球面形状をつくります。
	溝入れ	外周を部分的に削り、溝を作ります。
	突切り	溝入れをワークの中心まで行い、切断します。
	ローレット切り	ワークの外周に網目状の模様をつけます。
端面加工	端面削り	ワークの端面を削り、平面に整えます。
	正面削り	ワークの端面に段や溝をつくります。
	面取り	ワークの角にできたバリを削ります。
内径加工	穴あけ	ワークの中心に穴をあけます。端面・側面に穴をあけることができます。
内径加工	中ぐり	あけた穴を削り広げます。
ねじ切り加工	おねじ切り	ワークの外周におねじを削り出します。
ねじ切り加工	めねじ切り	ワークの内側にめねじを削り出します。