SUS303とSUS304の違い|代表的なステンレス鋼の比較
SUS303とSUS304はステンレス材料の中でも代表的な鋼種です。オーステナイト系ステンレスに分類され、ニッケルを含んでいます。どちらも入手しやすいステンレス鋼です。この記事ではSUS303とSUS304の特徴と違いを解説します。
金属加工のワンポイント講座
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2相ステンレス鋼とは、オーステナイト系ステンレスとフェライト系ステンレスを1:1の割合で二相混合したステンレス鋼のことを指します。オーステナイトとフェライトそれぞれの金属組織(二相)を持ち、長所をかけ合わせた物理的性質を持っています。
主要成分は鉄以外に、クロムを約20〜30%、ニッケルを1〜10%程度含有し、鋼種によってはモリブデンや窒素、銅なども含有します。オーステナイト系に比べるとニッケルの含有量は少なく、フェライト系が含有しないニッケルを少量含むステンレスとも言えます。
高い強度と優れた耐食性がこの材質の強みで、耐応力腐食割れにも優れているために、水門、トンネル、下水道設備、海水淡水化プラント、復水器、工業用水や海水を用いた熱交換器、排煙脱硫装置、ケミカルタンカー、各種化学プラント用装置、塩化物イオンを含むプロセス環境に接する機器など、非常に幅広い用途で使用されています。
JIS規格では、SUS329J1, SUS329J3L, SUS329J4Lが2相系ステンレス鋼に属します。
2相ステンレス鋼はSUS304、SUS316(オーステナイト系ステンレス鋼)の約2倍の強度です。JIS規格においては、SUS304とSUS316の引張り強さが520N/mm2以上であるのに対しSUS329J4Lの引張り強度は620N/mm2以上です。2相ステンレス鋼は500℃前後以上の高温下で急激な引張強さの低下と脆化が起こります。
2相ステンレス鋼はオーステナイト系ステンレスよりも耐応力腐食割れ性、耐孔食性に優れています。これは2相ステンレス鋼のクロム濃度とモリブデン濃度が高いため、不動態皮膜の耐食性が高いことが理由です。また、塩化物応力腐食割れに対しても優れた耐性を示します。SUS304やSUS316は塩化物イオンを含む中性水溶液中で応力腐食割れが発生する場合がありますが、2相ステンレス鋼は比較的その発生が少ない傾向があります。これは割れ発生の限界温度が高いことが理由で、SUS304では約50℃程度とされている限界温度が、2相ステンレス鋼の場合は180℃から200℃程度と高くなっています。
2相ステンレス鋼はSUS304やSUS316などオーステナイト系ステンレスに比較してやや高価な材料ではありますが、ニッケルやモリブデンなど価格変動が大きいレアメタルの含有量が比較的少ないため、原料価格変動に対するリスクも低いといった長所があります。
Point
2相ステンレス鋼はオーステナイト系ステンレスとフェライト系ステンレスを同じ割合で二相混合したステンレス鋼です。混合した2種のステンレス鋼の長所をかけ合わせた物理的性質を持っています。強度はオーステナイト系ステンレスの2倍ほどですが、高温環境下では強度が落ち、脆化が起こりやすいため高温環境下での使用には不向きです。耐食性に優れ、塩化物応力腐食割れに対しても優れた耐性を持ちます。
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