SUS304とSUS430の違い
SUS304とSUS430は共にステンレス鋼の切削加工において代表的な金属です。共に加工性に優れたステンレス鋼ですが、添加された金属の違いから耐食性などの性質に違いがあります。この記事ではSUS304とSUS430の違いを解説します。
金属加工のワンポイント講座
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オーステナイト系ステンレスに分類されるSUS316には、名前の後ろにアルファベットの「L」がついたSUS316Lという材料があります。この「L」はLow Carbonの頭文字で、低炭素を意味しています。鋼材は炭素量によってその特徴が異なります。この記事ではSUS316とSUS316Lの違いを解説します。
SUS316は炭素量が0.08%以下の低炭素鋼です。他にクロム18%、ニッケル10~14%、モリブデン2.5%などの元素が添加されています。モリブデンにより耐食性、耐孔食性が大きく向上しています。それに対してSUS316Lは、炭素量が0.03%以下の極低炭素鋼です。ニッケルの量が12~15%とSUS316よりも多く、耐食性が向上しています。
SUS316とSUS316Lの違いは主に以下の2点です。
加工性
SUS316Lは、SUS316と比べ炭素量が少ないため、焼きなまし状態での硬度が低く、加工性に優れています。
耐粒界腐食性
ステンレス鋼は熱処理や溶接などによる加熱で500℃~800℃の高温状態になると、結晶粒界にクロム炭化物が析出します。これにより表面に酸化皮膜を形成するクロムが不足する箇所が発生し、粒界腐食が起こります。炭素量がSUS316よりも少ないSUS316Lは、クロムと反応するための炭素が少ない分、耐粒界腐食性が優れています。
Point
・SUS316とSUS316Lの大きな違いは、加工性と耐粒界腐食性です。
・「L」とはローカーボン(炭素量が少ない)ということであり、その差分からSUS316LはSUS316よりも加工性と耐食性に優れています。
・SUS316LはSUS316よりも耐粒界腐食性が向上しており、溶接による粒界腐食が発生しにくい材料です。
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