切削加工とは|切削加工の種類と特徴
切削加工とは、金属や樹脂などの材料を主に工作機械を用いて削ったり穴を開けて加工する加工技術のことです。切削加工は大きく分けると直線切削と回転切削の2種類あります。この記事では切削加工とは何か、どんな加工があるかを解説します。
金属加工のワンポイント講座
onepoint
錆びは空気中の酸素や水分と反応して酸化することによって発生します。海の近くにある金属が錆びやすいのは、空気中の水分を吸収しやすい塩の性質によるものです。水回りの使用されているステンレス製品が錆びにくい理由は、他の金属よりもクロムやニッケルが多く含まれているためです。クロムの原子は空気中の酸素や水と反応し、目には見えない厚み数ナノメートルの薄い膜を作って酸化を防いでいます。
この皮膜は破壊されてもすぐに空気と反応して自己修正する性質を持っており、内側の金属を保護しています。これを不動態皮膜と言います。この性質を利用したクロムメッキやニッケルメッキなどの錆びを防ぐ表面処理もあります。
金属の表面全体がランダムに腐食していく状態です。屋外の空気中で起こる腐食の大半が全面腐食に該当し、酸化力の弱い環境で、ゆっくりと腐食が進行していきます。
表面が局部的に腐食した状態です。潮風が当たる海岸沿いのガードレールなどによく見られる腐食で、塩化物質が付着することにより点状に腐食します。これは塩化物イオンが大量に存在する環境になると、不動態皮膜の維持に必要なクロムが不足することで皮膜の形成が行われなくなり、そこから浸食が進んでいくことが原因です。
孔食と同様、部分的に発生する腐食です。構造上金属が組み合わせる箇所に視認できないほどの極めて小さな隙間で生じます。その隙間内では不動態皮膜の維持に必要な酸素が不足するため、そこから腐食が進みます。海水中でステンレス鋼が腐食を起こす原因に多いのが、このすきま腐食です。
溶接や熱処理による腐食です。金属は温度によって組織の配列や組織自体が変わります。加熱により炭素とクロムが結合し、クロム炭化物が形成されることにより、不動態皮膜に必要なクロムが不足し、そこから腐食が進みます。
水中で異なる金属が触れるときに発生する腐食です。組み合わさった金属の一方がプラス極、もう一方がマイナス極になります。マイナス極の金属に対するプラス極側の金属の面積比が腐食速度に影響します。
材質 | 特徴 |
---|---|
SUS304L(18Cr-8Ni低C) | 耐粒界腐食性を改善(炭素量低減)。SUS304と同じく、汎用性があります。 |
SUS316(18Cr-12Ni-2.5Mo) | 耐食性、耐酸性の改善(Ni増量Moの添加)。SUS304の強化版で沿岸部など、耐孔食用が必要な場面で使われます。 |
SUS316L | 炭素量の低下による耐粒界腐食性の改善。屋根、外装、水道管、下水道管、給湯器などに使用されます。 |
SUS316Ti(18Cr-12Ni-2.5Mo-Ti) | 耐粒界腐食性の改善(Tiの添加) |
SUS316J1(18Cr-12Ni-2Mo-2Cu) | 耐酸性の改善(Cuの添加) SUS316よりも耐孔食性に優れています。硫酸を使用する環境に適しています。 |
SUS317(18Cr-12Ni-3.5Mo)(Cr,Ni,Moの増加) | SUS316よりも耐孔食性が優れています。 |
SUS317L(耐粒界腐食性) | 耐粒界腐食性の改善。染色設備の材料として使われています。 |
SUS317J1(18cr-16Ni-5MoでNi,Mo量増加) | SUS317Lの強化版。SUS317Lで耐えられない環境に適しています。 |
SUS317J3L (Ni,MO増加、N添加) | SUS317よりも耐孔食性が優れています。 |
SUS309S(22Cr-12Ni) | 耐酸化性の改善(Cr,Ni量増加)。SUS304よりも耐食性は優れていますが、耐熱鋼としての用途が主です。ジェットエンジン部品、各種高熱環境に使用されます。 |
SUS310S(25Cr-20Ni) | SUS309Sよりも耐酸化性の改良をされていて、かつ耐熱鋼としての用途が主です。 |
SUS312L(20Cr-18Ni-6Mo-0.7Cu-0.2N-低C) | Moを多く含み、各種酸性環境に対応できます。海水使用機器、塩害地区外装建材、硫酸プラントなどに使用されます。 |
SUS321(18Cr-8Ni-Ti) | 更なる耐粒界腐食性の改善(Ti添加)ジェットエンジン部品、各種産業機械等に使用されます。 |
SUS347(18Cr-8Ni-Nb) | 更なる耐粒界腐食性の改善(Nb,Ta添加) |
SUSXM15J1(18Cr-13Ni-4Si) | 耐応力腐食割れ性の改良。塩素イオンを含む環境に対応できます。 |
SUS836L(22Cr-25Ni-6Mo-0.2N-低C) | SUS317よりも耐孔食性に優れます。 |
SUS890L(21Cr-24.5Ni-4.5Mo-1.5Cu-C低減) | 海水環境に対して強い性質を持っています。 |
SUS420J1(13Cr-0.2C) | 刃物の材料としてよく使用されています。応力腐食割れに強い特徴があります。 |
SUS410(13Cr) | 耐食性の改良(炭素量低減) 。ネジ、ボルト等焼き入れ可能な汎用性のある金属です。 |
SUS410J1(13Cr-Mo) | Moを添加してSUS410の耐食性の改良。 |
SUS430(18Cr) | 耐食性の改良(Crの増加)。フェライト系の汎用的な金属です。 |
SUS431(16Cr-2Ni) | SUS410,430よりも耐食性が優れています。 |
SUS630(17Cr-4Ni-4Cu-Nb) | SUS431の耐食性を改良したもの。炭素量低減、Ni増加。析出硬化性の付与。 |
SUS444(19Cr-2Mo-Ti,Nb,Zr-C,N低減) | Moを多く添加し耐食性を高め、耐応力腐食割れ用。 |
SUS447J1(30Cr-2Mo- C,N低減) | 酢酸環境に強く、耐応力腐食割れ、耐孔食性質も持ちます。 |
SUS329J1(25Cr-4.5Ni-2Mo) | 耐孔食性の改良(Cr量の増加Ni,Moの増加)。水門、海水用ポンプ、排煙脱硫装置に使われます。 |
SUS329J2(22Cr-5Ni-3Mo-N-C低減) | 耐孔食性の改良(Ni,Moの増加)。水管橋、受け水槽、ケミカルタンカー、化学プラント、製塩プラントなどに使われます。 |
SUS329J3(25Cr-6Ni-3Mo N-C低減) | 耐孔食性の改良(Cr量の増加Ni,Moの増加) |
SUS304やSUS316でもある程度の耐食性があるものの、実際の海辺環境では、それよりも高耐食な材質が使われております。含まれている元素からもSUS312L、SUS836L 、SUS890L、SUS329J4Lなどが高耐食としての材料になります 。25Cr-7Ni-3Mo以上の元素を持ち合わせた材料であればある程度の耐孔食性能を期待できます。海水環境では、塩化物を定期的に洗浄や除去ができること、不純物や生物がいる環境で使用するかも重要な条件です。
安価なものではSUS430がよく使われており、厨房機器や一般的な家庭器具で使われていることが多いです。SUS316Lの用途になると水道管、下水道管、給湯器などに使用されている他、高温になる場面の麺を茹でる槽に使用され、調味料を入れている耐酸性を必要とする材料としても使われています。
硝酸に対しては濃度20%程度の常温であればどの材質でも問題ないですが、濃度65%以上で沸騰したものに対してはSUS304やSUS316でなければ対応できず、フェライト系のSUS430やマルテンサイト系のSUS410,420J1では対応できません。
SUS316以上の耐食性を持っている材料であれば、常温の濃度10%程度までは耐えることができます。沸騰した温度の状態では5%の濃度でもSUS316は耐えることができません。Moが添加されている材質、Mo,Cuが添加されている材質は硫酸に対しての耐食が期待ができます。
ステンレス鋼の大敵とも言える強酸性の物質で、塩酸を扱う環境に対してはステンレス鋼は外すべき材質です。
高Niステンレス鋼に耐性があります。苛性ソーダ(水酸化ナトリウムは強アルカリ性物質)で濃度50%の常温であれば、どのステンレス鋼でも問題ないですが、それ以上の濃度では腐食を起こす可能性が高くなります。
SUS304(18Cr-8Ni)など。
不動態皮膜を形成する主成分で、含有量によって耐食性も増します。ステンレス鋼では12%以上の含有が必要になります。
SUS316(18Cr-8Ni-2Mo)など。
クロムの自己修正作用を高めます。(不動態皮膜の強化)
SUS836L(22Cr-25Ni-6Mo-0.2N-低C)など。
耐孔食、耐すきま腐食性が向上します。
SUS303(18Cr-8Ni-0.3S)など。
切削性が良好になり、耐食性は低下します。
SUS347(18Cr-9Ni-Nb) SUS321(18Cr-9Ni-Ti)など。
溶接部の耐食性を強化します。
SUS312L(20Cr-18Ni-6Mo-0.7Cu-0.2N-低C)など。
耐酸性を強化します。
Point
ステンレス鋼の種類は豊富なため、使用環境や用途によって適切な材質を選定する必要があります。また、その上でただ高耐食なものを選ぶだけでなく、コスト面も考慮する必要があります。
ステンレス鋼の切削加工などの金属加工のご相談・ご依頼承ります。
メタルスピードはステンレス鋼・アルミニウム合金の切削加工を得意とした金属部品のパーツメーカーです。材料の選定・設計段階からのサポートも承っております。ご相談・お見積り依頼があればお気軽にお問い合わせください。
このサイトはアルミ加工やステンレス加工の金属加工の情報をまとめています。金属部品の切削加工を中心に、設計や加工のご相談も承っています。不明点などある場合はお気軽にお問い合わせください。
タグ |
---|
切削加工とは、金属や樹脂などの材料を主に工作機械を用いて削ったり穴を開けて加工する加工技術のことです。切削加工は大きく分けると直線切削と回転切削の2種類あります。この記事では切削加工とは何か、どんな加工があるかを解説します。
加工硬化とは、金属に力を加えることにより硬さが増す現象です。ステンレス加工のトラブルの要因の1つです。ステンレス鋼の種類によっても加工硬化の有無・程度が変わります。この記事ではステンレスの加工硬化が起こる種類と原因を解説します。
ステンレス・SUSの代表的な特徴は、耐食性が高く錆びにくいところにあります。構造物や建造物の基礎や骨格を支える鉄筋・形銅から、錆びやすい環境での部品まで、使用用途は多岐に渡ります。この記事ではステンレス鋼の特徴を解説します。
無料お見積り2時間以内に返答対応
メールでのご連絡は
info@metal-speed.com まで