アルミ加工の基礎知識【アルミ切削加工メーカー】
アルミニウム合金は比強度に優れた金属です。番手ごとに多様な特徴があり、ジュラルミンと呼ばれる強度を高めた種類もあります。それぞれの番手の特徴をおさえることが最適な材料選択に繋がります。この記事ではアルミニウム合金の特徴と種類を解説します。
金属加工のワンポイント講座
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機械部品は用途に合わせて使用素材を選定します。素材によって強度、熱伝導率、導電性、寸法安定性などの性質に違いがあります。使用条件によってはその素材がオーバースペックであったり、逆に要件を満たしていない場合もあります。
そうなると部品のコストが高くなるだけでなく、使用上の問題の発生原因となってしまいます。それを防ぐために素材の特徴を知り、最適な素材の選択をすることが必要です。
この記事では、特に部品加工で素材に使われることの多い、アルミニウム合金とステンレス鋼の違いを解説します。
特徴 | アルミニウム合金 | ステンレス鋼(SUS) |
---|---|---|
比重 | 2.7 | 7.9 |
外観 | 白っぽい色 | 光沢あり |
熱伝導率 | 高い(熱を通しやすい) | 低い(熱を通しにくい) |
強度 | 低い。比強度は高い | 高い |
磁性 | なし | マルテンサイト系、フェライト系に磁性あり |
導電率 | 高い。しかしアルマイト処理を施すと絶縁になる | 低い |
アルミニウム合金の比重は2.7程度、ステンレス鋼(SUS)の比重は7.9程度と、同じ体積での重量は約3倍の違いがあります。
アルミニウム合金は比強度(単位重量当りの強度)が高い金属です。一定の強度と軽さが必要な輸送機器の部品などに使用されます。重さを無視するとステンレス鋼(SUS)の方が強度に優れた金属です。外部からの力の影響にも強いため、耐久性を重視する場面で使用されます。
アルミニウム合金の機械的強度は200℃以上で急激に下がり、金属素材としては低めの耐熱性です。ステンレス鋼(SUS)は500℃程度まで機械的強度をある程度保ちます。種類によってはその温度から急激に強度が下がります。
アルミニウム合金とステンレス鋼(SUS)にはどちらも錆びにくい特徴があります。より耐食性が高いのはステンレス鋼(SUS)です。表面はクロムと酸素が結合した不動態皮膜に覆われており、一部が傷ついてもすぐに再生する性質があります。
ステンレス鋼(SUS)の耐食性について、「錆びない」と誤解されることがありますが、絶対に錆びないというわけではありません。特定の条件下では腐食が進みます。室内の通常条件下での使用であればほとんど問題ありませんが、室外の湿気、塩気のあるような場所での使用は時間経過とともにゆっくりと腐食が進みます。そのため過度な期待は禁物です。
アルミニウム合金は熱伝導性が高い金属で、ステンレス鋼(SUS)の5倍~10倍程度の高さです。鍋やヒートシンクなどに使用されます。一方、ステンレス鋼(SUS)は熱伝導性が低い金属です。耐熱性に優れ、高温環境下での使用に適しています。
アルミニウム合金には一般的に磁性がありませんが、ステンレス鋼(SUS)は磁性を持つ種類があります。マルテンサイト系ステンレスやフェライト系ステンレスが磁性を持ちます。しかし、オーステナイト系ステンレスも、切削加工などの外部からの影響により内部組織が変化することで磁性を持つことがあります。
アルミニウム合金は種類にもよりますが、一般的に加工性の良い素材です。切削加工やダイカストなど多くの加工が行われています。一方でステンレス鋼(SUS)は難削材と呼ばれる、切削加工の難易度の高い素材です。熱伝導性が低く、加工時に発生する熱が工具に集中します。そのため工具の寿命が急激に短くなります。また、オーステナイト系ステンレスは加工中に極端に硬さが増す加工硬化と呼ばれる現象が起きることもあります。
ステンレス鋼(SUS)は外観に光沢がある金属です。アルミニウム合金はマット調の外観をしています。共にヘアラインなどの表面仕上げに対応しており、アルミニウム合金はカラーアルマイトにより着色できます。
Point
ステンレス鋼(SUS)は強度と耐食性、耐熱性に優れています。難削材に分類され、加工が難しい素材です。アルミニウム合金は比強度と加工性に優れ、製品の軽量化、汎用的な使用に適した素材です。
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