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コバール合金の特徴 | 硬質ガラスに近い熱膨張係数を活かした封着素材

コバール合金は鉄(約54%)、ニッケル(約29%)、コバルト(約17%)を主成分とした合金です。熱膨張係数を硬質ガラスと近くし、封着させる目的で開発されました。常温付近での熱膨張率の低さ、また硬質ガラスとの広い温度範囲での熱膨張係数の近似性を活かし、硬質ガラスと封着・封入・接触させることができます。コバールという名称は「Carpenter Technology Corporation社」の登録商標です。ニッケルを多く含み、粘り強さと耐熱性が高い特徴があります。

金属とガラスやセラミックなどの接着、トランジスタのリードキャップ、光通信関連部品、電子管材料や電子部品のガラス封入材料として不可欠な材料として用いられています。この記事ではコバール合金の特徴を解説します。

コバールの特徴

コバールは粘り強く熱伝導率が低く、耐熱性が高い金属です。熱伝導率が低いと溶着しやすくなり、切削工具が欠ける原因になります。加工硬化が起きやすく、切削性はSUS304に近い性質をしています。このため難削材に分類されています。バリの除去にも時間を要し、加工以外の部分でも時間がかかります。 入手した時点で材料が反っていることもあり、材料の調達時にはサイズの大きいものを選択するなどの注意が必要です。常温付近での熱膨張率が低いため、一般的な温度帯での材料の寸法は安定しています。

密度(g/cm)融点(℃)電気抵抗20℃(μΩ・cm)引張強度20℃(MPa)耐力(MPa)伸び(%)ヤング率(GPa)熱伝導率20℃(W/(m・K))磁気変態点(℃)
8.351450495402703515917430

コバールの加工性

コバールは難削材です。切削加工が困難な条件は以下の3つです。

  1. 加工硬化が生じやすい
  2. 熱伝導率が悪い
  3. 工具材料との親和性が大きい

コバールは上記3つの難削材条件すべてに当てはまります。

これらの難削条件が揃うと、切削工具に切粉が溶着し、切粉が工具から離れずに余計に削りすぎてしまうなどの加工上の問題が起こりやすくなります。それにより仕上げ面粗さの低下、加工精度の大幅な減少を引き起こします。そのため、切削の際には適切な刃物・工具の種類を取り揃え、刃物に負担がかかりすぎないように切削条件・加工方法を慎重に決定して加工を進める必要があります。

コバールの使用例

主に硬質ガラスやセラミック等の封着用に使われています。金属とガラスを封着するには下記3つの条件を満たしていなければならず、コバールはその条件を満たすことができる金属です。

  • 金属の融点がガラスの作業温度よりも高いこと。
  • 金属とガラスが互いに濡れていること。
  • 金属とガラスの徐冷温度以下の熱膨張係数が一致していること。

近年では集積度の向上に伴い、高導電性が求められており、レジンシールの利用が増大したことから銅合金を代替として利用されることも多くなっています。コバールで作られた線や管は熱膨張係数が一定で低いという性質、また硬質ガラスと近似しているという性質を活かして、ICリードフレームのハーメチックシールなどで電子部品用封着端子に活用されています。

コバールの加工実績

メタルスピードではアルミニウム合金・ステンレス鋼の産業機械の部品加工の取扱いが多く、コバール合金の加工実績はまだ少ない状況です。コバール合金の切削加工は小さいサイズの実績が大半を占め、外径φ7、内径φ3、長さ15のような細かい旋盤加工の実績もあります。

コバール合金は熱伝導率が低いので機械加工中に発生した熱が逃げにくく、非常に粘りがあるので加工しにくい難削材に分類される金属です。また、コバール合金のような難削材も、アルミニウム合金など他の材質と同じように小ロット・短納期で対応可能です。

Point

コバールは常温付近での熱膨張率が低い金属です。切削加工が難しく、難削材に分類されます。

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