機械加工とは｜機械加工方法と加工内容を解説

2024.08.6

機械加工は、工作機械を使って金属や樹脂材質をプログラムに従って加工する、金属加工の大分類に位置する加工方法です。機械加工は大きく分けて成形加工、除去加工、付加加工の3種類あります。部品加工の多くはこれらのいずれかの加工方法を用いて行われます。この記事では機械加工の種類と加工内容を解説します。

機械加工とは

機械加工とは、工作機械を使って素材を任意の形状に加工する加工方法です。成形加工や除去加工など、大きく分けて3種類の加工方法があり、その中でも切削加工や研削加工、3Dプリンター出力といった具体的な加工方法へと分岐しています。これらはNC旋盤や旋盤機、3Dプリンターなどの専用の機械が必要で、機械加工はこれらの設備を使った部品の加工です。

機械加工の種類

成形加工

成形加工は金属や樹脂を任意の形状に成形する加工です。成形加工で代表的な加工方法は「鋳造」「樹脂成形」「鍛造」です。鋳造は高温の液体金属を鋳型に流し込み固め、樹脂成形は2つの型の間に3次元形状の材料を挟み押し固めます。鍛造は金属素材の可塑性を利用して圧力や衝撃を与えて成型します。部品や製品の生産以外にも金属や樹脂の板材や丸材といった材料の生産にも使われている加工方法です。

鋳造

金属の加熱すると溶融し、冷却すると凝固する性質を利用して金属部品を製作する加工方法です。型に溶融した金属を流し込み、冷却して鋳型から取り出します。大量生産時にコストメリットのある加工方法です。精度や強度は切削加工などの除去加工による製作に比べると低くなります。精度を重視した「ろう」を使ったロストワックス法や溶解した金属を高圧で流し込むダイカスト法があります。

鍛造

素材の可塑性を利用した成形加工です。鍛造は型や工具、治具を用いて衝撃や圧力を加え形状を変化させます。主に常温で成形する「冷間鍛造」と加熱して成形する「熱間鍛造」とに分かれます。

射出成形

樹脂素材の成形加工です。雄型と雌型の2つの型の間に材料を挟み込み、加圧して製品を成形します。樹脂の靭性や弾性を活かし、型の表面に加圧や空気圧で張り付けて成形するブロー成形や真空成形があります。前者は主に樹脂製品の大量生産、後者のブロー成形は主にペットボトルに真空成形は外装、トレーなどに用いられます。

付加加工

付加加工は加工品に別の処理を付け加える加工方法です。3Dプリンター出力や溶接加工、アルマイトなどの表面処理が分類されます。3Dプリンター出力は従来の加工方法と比べ工数が少なく、短期間での開発や設計の幅を広げるための加工方法として、金属加工においても主流化しています。

3Dプリンター出力

3Dプリンター出力は、設計した3D-CADデータをもとに、粉末金属を使って造形する加工方法です。造形ベースに薄く敷き詰めた金属粉末にレーザーを照射して、溶かしながら積み上げます。金属の3Dプリンター出力はコストが高く、材質の種類が少ないことが課題でしたが、メーカーによる材質ラインナップの強化に伴い、実用的な加工方法として一般化しつつあります。

溶接

金属の接合部を加熱し溶かして結合させる加工方法です。部品同士を嵌め合わせるには、クリアランスや構造の設計が必要です。また、ボルトやリベット、ナットなどの別の部品が必要になる場合もあります。溶接は構造を簡素化することができ、重量の軽減にもつながります。

参考：「金属溶接の種類」

表面処理

加工の後に、部品の表面を硬化させる処理、皮膜を形成し耐食性を向上させる皮膜処理、化学反応を利用した化成処理があります。部品の表面に別の性質を持った皮膜を形成することで、材質が本来持たない性質を付与することができます。

参考：「金属の表面処理の種類」

除去加工

除去加工は金属や樹脂素材に切削工具や磁石・電気を使って不要な箇所を取り除く加工方法です。運動エネルギーを工具に伝達させて不要箇所を除去する切削加工や、対象と電極の界面に放電を起こして不要な箇所を溶解させる放電加工などが分類されます。切削加工は除去加工の中でも代表的な加工方法です。旋盤やNC工作機械、5軸同時制御機械などの工作機械を使って多様な形状の部品を製作することができます。